不動産CA

気づきの記録

実務経験から得た新たな知識や気づきを日々の業務に活かしたいと考えています。気が向いたときにでも読んでくださればうれしく思います。
掲載内容は現在の法令に合致していない過去のものも含まれます。また、守秘義務に反しない範囲で承諾を得た内容のみ掲載しています。

今回の依頼は住宅ローンの借り換えについて。初めての相談から2か月後に無事実行。 このまま返済を完済すれば依頼人の経済的利益は数百万円になります。経済的利益とは、借り換え前と後の総支払額の差額から全諸費用を差し引いた金額のこと。
近年続いている低金利。この時期に借り換えを決断した依頼人の選択は流石でした。既存の住宅ローンは借入金3,000万円、返済期間30年、金利2.3%。借り換えを考え始めたきっかけは、10年後の更新時期に送られてきた金融機関からの案内とのこと。10年前と現在では生活環境や考えの変化があった様子。これからの20年を希望のプランへ変更することに。話を聞きながら依頼人の希望を整理すると、

  1. 現在の毎月の返済額を超えないこと
  2. 完済まで固定金利に
  3. 返済方法を元利均等から元金均等へ
  4. 団信に三大疾病を付保すること
  5. 一部繰上げをして返済期間を短縮し60歳までに完済すること
  6. 実店舗のある金融機関、なおかつ、キャッシュカードの利便性を重視
そこで、今回おすすめしたのはフラット35の返済期間20年以内のプラン。団信や融資手数料、登記費用等の諸費用が必要ですが圧倒的な低金利により、冒頭の通り、総支払額は数百万円抑えることができました。
多忙な依頼人がミスなく期限通りに書類を集めてくれたこと、金融機関の担当者も精一杯対応してくれたおかげでアクシデントもなく手続き終了。返済期間17年、固定金利1.35%の新たな住宅ローン。将来の金利上昇に振り回されることなく、体調の急変などにも対応できるプランにより不安も少しは和らぎ、これまでとは安心感が違うようです。健やかな毎日につながれば何より!完済後にお祝いできる日を楽しみにしておきます。

初めて利用するカフェで遅めのランチ。建物は築年数が経っている小さな平屋住宅。用途変更をしているのだろうか?(不動産登記簿上の「種類」に記載されています。)「脱法ハウス」報道が盛り上がっていた時、よく目にした「用途変更」の文字。とっさに脳裏をよぎったが100㎡未満で住宅から飲食店だから必要ないか・・・。と、すぐに納得。
店構えと味とのギャップを期待しながら店内へ。店内を見渡すとさらに不安に。天井や仕切り壁の一部がなく、屋根裏、柱、配線が剥き出しに。スケルトン仕様の店舗。鉄骨造りや鉄筋コンクリート造り、古民家風の店舗はよくありますが・・・。足元の床に置かれた花瓶。これはディスプレイ?そういえば外は大雨。あっ!雨漏りを受けていました。バケツよりは店内の雰囲気に合っていますけどね。それにしてもこの店内はどこかで見たような。以前施工した内装改修中の現場を思い出すまでに時間はかかりませんでした。
そんなことを思いながら配膳を待つ。その間、不思議と落ち着いている自身に気がつきました。BGMも心地よくてちょっと癒されている感じ。ディスプレイ等はアジアンテイスト。50年ほど経っていそうな建物や内装と妙に合っています。
こんな活かし方あるんだ。まさに”再生”。店主のセンスが光っていました。もしこの住宅を売却したいという依頼があれば、「解体することを視野に入れましょう」と安易に言っていたかも。
この空間でランチを堪能しながら、近々行う住宅の売買契約のことを考えていました。築43年の住宅。買主さんは解体して新築住宅を建築する予定。これまでに建物を活かす提案をしてきただろうか。自問自答する機会に恵まれたランチタイムでした。

アパートの借主さんが勤務地の関係で引越すことに。引越し先のアパートはご自身で探されており、契約する前に疑問が生じたということで連絡をくださいました。質問に答えていると疑問が解消した様子。そして、話の最後に大家さんや私にとって励みになるひと言が。
「今も、今までも何かと親切に対応してくれてありがとう。」・・・ありがたい言葉でした。
この言葉、私一人の力ではもらえなかった。要望を聞くことはできても決定権のある大家さんの協力なしには応えられない。大家さんの想いは「住みやすくなるようにできることはしたい」ということ。この想いがきっちりと伝わっていたことを実感しました。早速、大家さんにご報告。空室になる辛さはあるようでしたが、想いが伝わっていたことに感激されていました。
ここからは私の仕事。一日も早く新しい借主さんを紹介できるように最善を尽くしたいと思います。

20代~40代の若い相続人。相続財産に含まれる不動産のご相談を受ける機会が増えているように感じます。「家族が困らないように何とかしなければ。」これまでの人生で「不動産」に関心がなかったり、よく分からないから親にまかせっぱなしにしていたり。でも相続が発生し、これからどのように維持・管理、または現金化すればよいか悩まれています。親族や家族のために相続に関することを一人で抱え込み、重責に押しつぶされそうな状態で来られることも珍しくありません。まさにいっぱいいっぱいの状態。お話を伺いながら一人で背負う必要がないこと、要望があればパートナーとしてサポートすることを伝えています。硬直した表情が和らいだり、「肩の荷が下りた」と、おっしゃる方も。その表情の変化、ひと言が私の原動力になります。自己研鑽を怠ってはいけないと感じる瞬間です。

利用することはほとんどない保険。掛け捨ての保険。「もったいない」と考える方も多いはず。ですが、今回は「火災保険」が役に立ちそうです。特約の「借家人賠償責任補償」のおかげ。借主さんからのご連絡後、すぐにお部屋へ伺いました。玄関扉が開き、目にした状況は割れた間仕切り戸のガラス。破損して傾いている扉。壁に穴が・・・。「どうされたんですか?お怪我は?」事情を伺う内に、借主さんの故意による事故ではないような気がしました。保険会社へ連絡し、状況を説明。保険会社も故意とは断定できないという判断。結果はどうなるのかわかりませんがまずは申請してみることに。賃貸借契約締結時に加入してもらっている火災保険。貸主さんと借主さんの良好な関係のために必要なもの。今回の事故が教えてくれました。

管理物件の大家さんからの電話。「不動産を売ろうと思う」という内容。その「不動産」は賃貸中の戸建+駐車場。契約者数は1人+4人で合計5人。「売ろうと思う」を実現するためには、全借主さんからの「明け渡し」が大前提に。
ここで少し寄り道を。講習会等でよく出てくるテーマ「立ち退き」。この言葉、受け入れにくいんですよね。何となく無理やり感があって。同じような意味ですが「明け渡し」の方がしっくりきています。何となく借主さん側の意思があるような感じがするので。もちろん私にとってですが。
何はともあれ約2ヶ月間かかりましたが今日、無事に依頼業務を終えました。いつ、どのような利害関係になるのかは分からない。もし日頃から傲慢な態度をとっていれば、今回しっぺ返しを食らうことになっていたかも。決して利害のためではありませんが、日頃からの心地よい「つながり」はとても大切。皆さんのご協力が身に染みました。

「貸主」と「転貸人」のトラブルが発生してから4ヶ月。本日、和解による合意書を交わし、無事解決しました。「転貸」を収益面から簡単に説明すると、貸主から借りた賃貸物件を賃料収入を得る目的で第三者に貸すことです。「貸主」と「転貸人」の契約はマスターリース契約とも呼ばれています。貸主と転貸人の関係は7年間。転貸人は弊社です。貸主との関係に違和感を覚えたのは約2年前に「転借人(転貸人と賃貸借契約を締結した者)」が退去し、貸主との話し合いに立ち会ったときでした。話し合いは数回行われ、今後の賃料のこと、テナント募集のこと、明け渡しのことなどが主な内容でした。貸主と転貸人の関係は信頼関係がなければ成り立たないと考えています。転借人の要望に対応するには所有者である「貸主」の協力が不可欠だからです。
ですが信頼関係はあまり感じられず、何故この契約が続いているのか疑問でした。今となれば「賃料収入」だけが両者を結び付けていたように思います。このような状況の中、4ヶ月前に弁護士事務所から内容証明が郵送されてきました。「何だろう?」と思い、開封して「びっくり」と「やっぱり」。ついに来たか・・・。内容を確認してさらに「びっくり」と「怒り」と「悲しみ」。直近の話し合いでの貸主との決定事項がことごとく無視された内容に「びっくり」と「怒り」。また、ここまで貸主を追い詰めていたことに気がついて「悲しみ」。ですが、感傷に浸ってはいられません。弊社に対し数百万円の損害賠償請求をしてきたからです。今の時期にこの請求に従えば、今後の活動に支障をきたすことは明らかでした。一瞬震えましたが、この請求を退ける証拠、根拠を明示するしかないと考えました。決定事項が無視されていた内容でしたので、これまでの話し合いのメモや記憶が頼りです。こちらは弁護士に依頼せず、業務責任者の私が直接弁護士と話をすることを決断しました。運良く、貸主が依頼した弁護士は対応もよく、決定事項を無視されている事実を理解してくださり、裁判ではなく和解となりました。お互いの要望のズレを受け止め、落しどころを探り、時間は掛かりましたが、和解内容もこちらが納得できるものになり今日に至った次第です。
不動産を扱う以上、裁判を避けては通れないことを実務を通じて実感しています。ですが、気になることは徹底的に調べ、話し合い、そして問題を先送りにしないことが大切だと思います。紛争が起き、どちらかの要望が通ったとしても紛争から結論までの経過はお互いすっきりとした気分にはならないでしょうから・・・。今回の事案を教訓として活かしたいと思っています。

資産価値について考えさせられた事例をご紹介します。最近、実家の近隣で32区画の造成工事が行われています。この地に引っ越してきた約25年前は造成工事とは無縁の環境でした。当時、街灯もまばらなので夜は真っ暗、「ちょっとコンビニへ」と思ってもコンビニがありませんでした。その分、夜空は美しかったですが。
また、JRの最寄駅まで自転車で約20分、バス停までも徒歩約10分。学生時代、社会人時代と、通学や通勤で苦労した記憶があります。特に雨と雪の日は悲惨でした。さらに、実家から約120m地点に新幹線の線路が通っているため、通過ごとに家が小刻みに揺れます。便利だったことは約1.7キロ地点に高速道路のICがあり、車で遠出をするときにはこの環境に感謝していました。
このような環境でしたので、車がないと不便で近隣に売家が出てもなかなか売却できない状況でした。将来、実家を売却することになった場合、買主を見つけるためには大規模なリフォームを行うか、相当価格を下げないと売却できないだろうと想像できました。ですが、このような環境が変わり始めます。広い土地を利用できる環境が幸いし4年前に駐車場1400台、店舗数105店の商業複合施設ができました。実家から約1.3キロ地点です。また隣の市が発展し、その市へのアクセスや地価の価格差等で実家の近隣が注目され始め、それが頭書の造成工事につながったものと思われます。
実家の近隣のあちらこちらで建て替えが行われたり、5~15区画位の分譲地が数か所できたり、共同住宅が建てられたりと、環境がどんどん変化していきました。住宅が建築されるにつれて、若い世代のご夫婦が増えたことを実感しています。車を利用して生活する世代ですので、JRの最寄駅やバス停までの距離は関係ないのでしょうね。
約25年前では売却できるかどうか分からなかった単なる「不動産」が、今では立派な「資産」となりました。土地や建物という資産は、当たり前ながら「不動産」というだけあって所有者の思い通りに場所を移動することはできません。でも、環境を創ること、変化することで資産価値が増加する現象を目の当たりにしました。先見の明がなかった自身を反省しつつ、この体験を今後の仕事に活かしたいと思っています。